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動物愛護管理法

注目の4つの改正ポイントは?

私たちの愛する家族との豊かな共生と、ペット事業者の責任や義務を強化する目的として2019年に法改正が行われました。
2025年6月をめやすに施行は段階的に行われる予定になっています。今回の法改正のポイントを紹介します。

① 幼齢犬猫の8週齢規制

生後56日(8週齢)に満たない犬猫の販売を禁止する法規制です。既に2021年6月から施行されています。
従来までは生後49日(7週)とされていたものから1週間延長されました。
これによって、8週齢まで母犬及び兄弟犬と共に生活することで、成長後の問題行動の予防(社会性の習得)、母犬からの免疫力を高め流通過程での感染症を減少させることが出来ます。
例外として、日本犬の6犬種(柴犬、秋田犬、北海道犬、甲斐犬、紀州犬、四国犬)は、天然記念物の保存を理由に、ブリーダーからの販売に限り規制の適用対象から外されました。
そのため、この6犬種はこれまで通り生後49日を超えれば購入可能です。将来的には、更なる法改正が迫られますね。

②マイクロチップの装着義務化

2022年6月1日から、ブリーダーやペットショップ等で販売される犬や猫について、マイクロチップの装着が義務化されました。
つまり、ブリーダーやペットショップ等で購入した犬や猫にはマイクロチップが装着されており、飼い主になる際には、御自身の飼い主情報へ変更登録する必要があります。
法改正前より所有していた犬、猫に関しては努力義務とされています。

③虐待の罰則を厳罰化

動物殺傷罪等の厳罰化【 第44条 】は2020年6月から施行されています。さらに、動物の虐待や遺棄については、100万円以下の罰金とされていましたが、改正後は、1年以下の懲役が追加されました。
従来は、動物をみだりに殺したり傷つけたりする行為には、2年以下の懲役または200万円以下の罰金とされていましたが、現在は、5年以下の懲役または500万円以下の罰金に変わっています。
犯罪だという認知によって、安易な捨て犬や捨て猫への抑止になってほしいと願います。
併せて、獣医師は、虐待を受けたと思われる動物を発見したときは、都道府県知事その他の関係機関への通報が義務化されており、これまでの通報するように努めなければならないから強い表現へと変わりました。
ここでの動物の虐待とは、暴行を加えるなどの意図的な行為のほか、必要な世話を行わない、ケガや病気の治療をせずに放置するなど、やらなければならない行為を行わない場合(ネグレクト)も虐待に含まれます。

④対面販売・対面説明が義務化

2020年6月から施行されており、近年では一般的になってきている法律です。
ペットショップ、ブリーダーなどの事業所で動物の販売にあたり、動物を購入する者に対して、その事業所において動物の現在の状態を直接見せる(現物確認)とともに、重要事項説明を対面で説明(対面説明)することが規定されています。

ペット事業者への7つの改正ポイントは?

2021年4月に「第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物管理の方法基準を定める省令(基準省令)」が設定され、2021年6月より施行されています。法令は、犬猫を取り扱う全ての事業者が対象です。

①使用施設のケージ等に数値基準が設定される

犬や、猫の体長と体高から計算し従来よりも広いスペースへの切り替えが目的です。
但し、寝床・休憩場所と運動スペースを分離する場合と一体化した場合で基準値が異なります。常時、犬猫が運動できるスペースでの維持管理が求められています。


◇運動スペース「一体型」の場合

犬:分離型の床面積の6倍×高さ体高の2倍
猫:分離型の床面積の2倍×高さ体高の4倍(棚を2つ以上設け3段以上設置)


◇運動スペースを持たない「分離型」の場合

犬:タテは体長の2倍×ヨコは体長の1.5倍×高さ体高の2倍
猫:タテは体長の2倍×ヨコは体長の1.5倍×高さ体高の3倍(棚を1つ設け2段以上設置)

分離型は、運動スペースを「一体型」の基準に合うように別に設置する必要があります。

②飼養又は保管できる動物数に上限設定

動物の飼養又は保管を行っている施設での、従業員数に関する事項が定められました。
但し親と同居している子はカウントされません。


犬・・・従業員1人当たり20頭上限(うち繁殖犬は15頭まで)
猫・・・従業員1人当たり30頭上限(うち繁殖猫は25頭まで)

③飼養環境の管理基準

飼養施設に温度計及び湿度計を備えつけ、低温や高温により動物の健康に支障がでないように管理すること。
加えて、臭気に配慮し清潔を保ち、自然採光や照明の調整を行うこと。このように、適切な環境の具体化が示されました。

④動物の健康管理方法に新基準

1年以上継続して飼養又は保管を行う犬又は猫は、年1回以上の獣医師による健康診断を受けさせ診断書を5年間保存すること。
さらに、繁殖を行う生体への適否に関する診断を受けさせること。

⑤動物の展示や輸送方法の基準

犬又は猫を長時間連続して展示する場合は、休憩できる場所に自由に移動できる状態を確保すること。
それが困難な場合は、展示時間が6時間を超えるごとに、その途中に展示を行わない休憩時間を設けること。
飼養施設での輸送後2日間以上は、その状態(下痢、おう吐、四肢の麻痺等外形上に限定)を観察すること。
系列店舗間の移動であっても輸送後の目視観察は必要になります。

⑥適正な飼養の基準

犬猫は、常時給水が必要なため、清潔な水をいつでも飲める状態の確保が義務付けられました。
犬猫の社会化のため、運動スペース分離型飼養の場合は、犬猫を1日3時間以上運動スペース内で自由に運動できる状態にすること。さらに、人とのふれあいを毎日行うこと。
犬又は猫を飼養又は保管する場合には、以下のいずれかの状態にしないこと。


・被毛に糞尿が固着した状態
・体毛が毛玉で覆われた状態
・爪が異常に伸びている状態
・健康及び安全が損なわれるおそれのある状態

⑦繁殖に関する規定

犬は、雌の生涯出産回数は6回まで、交配時の年齢は6歳以下、ただし、7歳に達した時点で生涯出産回数が、6回未満であることを証明できる場合は、交配時の年齢は7歳以下とする。
猫は、雌の交配時の年齢は6歳以下、ただし、7歳に達した時点で生涯出産回数が10回未満であることを証明できる場合は、交配時の年齢は7歳以下とする。


・犬又は猫を繁殖させる場合には、必要に応じて獣医師等による診療を受けさせ、又は助言を受けること。
・帝王切開を行う場合は、獣医師に行わせるとともに、出生証明書並びに母体の状態及び今後の繁殖の適否に関する診断書の交付を受け、5年間保存すること。
・犬又は猫を繁殖させる場合には、前述の健康診断、上記の帝王切開の診断その他の診断結果に従うとともに、繁殖に適さない犬又は猫の繁殖をさせないこと。

まとめ

改正された「動物愛護管理法」は、段階的に施行されることで改善への方向へ進んでいます。
動物虐待を阻止するには、今回の改正での罰則の強化はまだまだ抑止力に及ばないかもしれませんが、近隣での異臭などの気づきは監視の効果があります。
全ての命のある生き物が幸せに暮らすのを願うのと同じく、法規制への関心を寄せ正しい知識を得て今後より改善される議論がされることを注視していくことが何より大切です。



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