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犬の骨折の見分け方は?症状と治療法・骨折を予防するには?
犬の骨折の種類と原因
犬の骨折は強い衝撃によって骨が折れるイメージがありますが、実は日常のちょっとしたつまずきで折れてしまうこともあります。
もし愛犬が骨折をした場面では、どのように見分ければいいのかを知っていると万が一の事態に役立ちます。
今回は、骨折の症状や治療、リスクを避ける予防法をご紹介します。
骨折とは?
骨折とはその名のとおり骨が折れた状態を意味します。
つまり外部からの強い力が加わることで骨に損傷が起こります。これは骨が完全に折れた場合と、ヒビや骨の一部が欠けて陥没した場合も骨折とみなします。
犬の骨折の種類
骨折の状態によりさまざまな呼び方があります。
『完全骨折』
完全骨折とは、骨の繋がりがなくポッキリ折れている状態をいいます。
『不完全骨折』
不完全骨折は完全に折れているのではなく、骨にヒビが入って一部が繋がっている骨折で一般的にはヒビと呼ばれています。
見た目で判断が難しく犬が痛いことをがまんすると診断しづらい側面があります。
『開放骨折』
開放骨折は別名では『複雑骨折』のことで、骨折した骨が体を貫通してしまい露出している状態です。
交通事故や転倒などで起こり、体の他の部位の損傷と併せて細菌の感染が懸念されるため早急に治療を行います。
『閉鎖骨折』
閉鎖骨折とは、『皮下骨折』又は『単純骨折』と呼ばれており皮膚の内部での骨が折れている状態のことをいいます。
『粉砕骨折』
粉砕骨折は、『複雑骨折』と間違われますが実は折れ方が違います。一部の骨に強烈な力が加わった箇所が細かくばらばらに砕けている状態になります。
犬の骨折の原因と見分け方
犬の主な骨折の原因は?
犬の主な骨折の原因と考えられるのは以下のような事例が挙げられます。
①高所からの飛び降りの衝撃
ベッドやソファなどの高い場所から飛び降りた際に、全体重が前足にかかることで、衝撃が加わり骨折します。
骨折が前足に集中して多いのはこのことからといえます。
また外での散歩中に段差をジャンプして着地に失敗してしまうこともあります。
➁抱っこ中の落下・誤って踏む
飼主さんがやさしく抱いている時に何かの弾みで犬が滑り落ちてしまい骨折することがあります。
そして特に多いのは好奇心旺盛な仔犬が飼主さんの後ろをついて歩きがちで誤って踏んでしまうケースです。
③ドアで挟む・フローリングの上で滑る
室内で起こりやすいのが、犬に気が付かないままドアを閉めて犬を挟んでしまう事故があります。
他にはフローリングの床の上で踏み止まれずに滑ってしまい骨折を引き起こします。
④他の犬との衝突・交通事故
ドッグランなどで多くの犬が走っている中で、犬同士がぶつかってしまうことがあります。
犬をつないでいる首輪がすり抜けてしまうことや、何かに驚いてリードが手元から離れて犬が逃走してしまい交通事故に遭う場合もあります。
⑤病的骨折・栄養的骨折
骨の癌によって骨の強度が低下すると骨折します。
さらに子犬の成長期に肉のみを与えると高リン血症になり、骨からのカルシウムが失われてしまいます。
骨折しやすい犬種は?
骨折はどの犬にもリスクがありますが、特に気をつけたいのは、まだ骨の成長期の子犬と身体機能が低くなるシニア犬になります。
さらに骨が細く筋肉量の少ない小型犬は骨折しやすいとされています。代表的な犬種は次の通りです。
・トイプードル
・チワワ
・ポメラニアン
・パピヨン
・マルチーズ
・ミニチュアピンシャー
・イタリアングレーハウンド
犬の骨折の見分け方
先ずは少しでも様子がおかしいと感じたら動物病院で一度診てもらうようにしましょう。
骨折をそのまま放置すると、骨がずれたままくっついてしまい痛みで歩行が困難になり、後遺症が残り完治は難しくなります。
骨折直後は犬が痛みの衝動で飼主さんを噛んでしまう事故を避けるために、バスタオルで体ごと包んでそっと動かしてみましょう。飼主さんも落ち着いて冷静に対処しましょう。
判断が難しい骨折の手がかりとなるヒントは次のようになります。
・骨折の箇所が熱をもって腫れている
・歩行がふらついて蛇行する
・足を地面につけず持ち上げている
・鳴き声をあげて痛がる、触ると嫌がる
・同じ箇所をしきりに舐める
・元気消失で食欲がなくなる
・排尿や排便の失敗
骨折の検査と治療
動物病院での検査
犬の骨折が疑われる場合は、触診で折れているかを診て次のような検査を行います。
レントゲン検査
レントゲン検査では、骨折している箇所の特定をして骨折の程度を画像で確認し手術の可否を判定し最適な治療法につなげます。
CT検査
CT検査とは、あらゆる方向から断面を見ることが出来る検査方法になります。
レントゲン検査が難しい複雑な部位は、CT検査で断面を診て診療方針を検討します。
しかしCT検査は被爆量が多いデメリットがありレントゲン検査が優先されることが多くなります。
犬の骨折の治療は?
代表的な骨折の治療は、ギブスやプレートで固定する方法と外科手術を行う方法があります。骨折の程度によりどの治療方法を選択するかを決め骨を整復します。
治療期間は、早くて1カ月で術後の経過をみるための通院におおよそ2ヶ月程かかります。
骨折の治療方法の詳細は以下になります。
『ギブス固定』
骨折した幹部をギブスで巻いて固定する方法です。手術をする負担がかからない上、軽度の場合は早めに治ることが見込まれています。
他には、手術が難しい箇所や手術日までの処置で行われることもあります。
『創外固定』
創外固定とは、全身麻酔をして皮膚の上からネジ付きのピンで固定します。足が細くプレートでは血行障害が予想される時にこの手術を行います。
皮膚の上から行うため、切開手術よりは負担が低く治療期間も短くなります。この治療は、しっかりと取り付ける必要があり高い技術が望まれます。
『プレート固定』
最も一般的な骨折の外科手術になります。手術は骨折した箇所をチタンプレートとネジで固定します。この手術では術後に歩行できるようになるのが早いといわれています。
そして完治した後にプレートを取り出すための再手術が必要なケースもあります。
『髄内ピン』
髄内ピンとは全身麻酔をして、髄内釘ともいわれる骨内の空洞部分の骨髄にピンを通して固定する手術です。
髄内ピンは固定強度が弱いためギブスと併用することが多く、子犬やシニア犬では行えない場合があります。
犬の骨折の予防法は?
犬の骨折の多くは子犬期の骨や筋肉がまだ成長半ばに起こるため、お迎え時期から安全に過ごせるように室内の環境を整えることが大切です。ここでは、ちょっとした工夫と心がけで骨折を防ぐ予防をご紹介します。
①安全な部屋を作る
・ベッドなどの段差の場所にペットステップを置く
・フローリングには滑り止め付きのペットマットを敷く
・階段・玄関には滑り止めマットを敷く
・ドアの開閉に注意しドアストッパーを置く
・犬が登れないように家具の高さを考慮して配置する
・柵の幅は犬の足が挟まる隙間を作らない
➁犬を正しく抱っこする
犬の体の下からしっかり手を入れて抱っこをしましょう。
犬が嫌がって落下しないためには、子犬の頃から抱っこに慣れるトレーニングを行いましょう。
③食事と適切な運動
丈夫な骨にはバランスの良い総合栄養食を与えましょう。総合栄養食のみで栄養が十分に摂れるように調整されているので活用しましょう。
適切な運動は、成長に必要な丈夫な骨を守る筋肉を作ります。筋肉量が落ちないように散歩を行い運動量を保ちましょう。
④お散歩の気をつけるポイント
散歩時には、予期せず犬の首輪やハーネスがすり抜けて、逃亡後に交通事故に遭ってしまう事例があります。
散歩に出かける前に、体型にきちんと合っているかチェックして出かけるようにしましょう。
そして初めて会う犬同士で興奮してトラブルに発展しないように、慎重に距離を空けてリードを短く持ち対処しましょう。
さらに、ドッグランで興奮して犬同士がぶつかる事故を防ぐには愛犬の目を離さない事と、一旦、休憩をさせてクールダウンさせて落ちつかせましょう。
まとめ
犬の骨折は意外にも日常の生活の室内で多く起こります。骨折の原因はさまざまですが、子犬や小型犬は骨自体が細いため段差を飛び降りた時の衝撃や、飼主さんの抱っこの腕から滑り落ちてしまうことがあります。
骨折を防ぐには、犬が登れない高さの家具を配置するなど室内で安全に過ごせるように環境を整えましょう。
骨折が疑われる場合は、骨に後遺症を残さないためにすぐに動物病院で診察してもらいましょう。
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