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犬の膀胱炎の原因と症状は?尿トラブルを予防するには?

犬の膀胱炎について
犬の尿トラブルの多くは膀胱炎になります。身近な病気の膀胱炎は、飼主さんがいち早く気づくことができる初期のサインがあります。
今回は、犬の膀胱炎の原因と症状、検査や治療、そして再発予防などをご紹介します。
犬の膀胱炎とは?
腎臓を通過して体の中の廃棄物を一時的に溜める器官が膀胱であり、この膀胱の粘膜に炎症が起こることを膀胱炎といいます。
膀胱に溜められた尿の濃さは、体の状態や水分の摂取量に関連しており、膀胱に長く溜めておくことは血圧の上昇にも影響し望ましくありません。
犬の膀胱炎の主な原因は次の通りになります。
① 細菌感染
膀胱炎の多くは細菌感染です。膀胱は尿道を通して体の外につながっています。
大腸菌やブドウ球菌などの細菌が尿道から膀胱へ増殖して感染し発症します。
➁膀胱結石
尿の中に含まれるカルシウムやシュウ酸などが結晶化し巨大になると粘膜を傷つけます。主にストルバイト結石とシュウ酸カルシウム結石が挙げられます。
また結石の大きさによっては、尿道に移動して尿道閉塞という緊急を要する病気に繋がります。
③膀胱腫瘍
犬の膀胱腫瘍では、最も多い悪性の移行上皮がんであって雌の犬での発生が比較的に多いとされています。
④突発性膀胱炎
前ぶれがなく突然に膀胱炎を引き起こすことをいいます。はっきりとした原因が特定することが難しくストレスが要因とされます。
環境の変化でストレスがかかると血尿が出ます。
⑤生殖器のトラブル
未去勢の雄犬は前立腺炎を引き起こすとすぐ近くの膀胱でも炎症が広がってしまいます。
雌犬のケースでは子宮になんらかの問題があった場合に密接した通り道から膀胱にも影響を与えます。
犬の膀胱炎の症状
『初期症状』
・頻尿になり少量の排尿を頻繁に繰り返す
膀胱に十分な尿が溜まっていない状態であっても膀胱内部の刺激によって尿意を感じることになります。
・残尿感があり落ち着きがなくなる
膀胱が空の状態であっても尿意、残尿感を意識して排尿の姿勢をとります。
きちんと排尿が出来た後もトイレから離れず落ち着きがなくなります。
・血尿
飼主さんが気づく代表的な症状のひとつで尿に血液が混じり血尿がでます。
『病気が進行すると』
・尿の変化がみられる
尿の色が濃くなり匂いもきつくなります。細菌感染では尿の粘度が粘りをみせます。
また尿に光が見えるようにキラキラと結晶が確認出来ます。
・排尿時に痛みを伴う
膀胱内の炎症が尿道に広がると、排尿時に痛みを伴いキャンと鳴いたりトイレや散歩に行くのを嫌がるようになります。
・排尿できない
排尿の姿勢をしていて時間がかかるようになり排尿が出来ないことが確認できる。
犬の膀胱炎の検査と治療
ここでは、動物病院で行う検査や診断後の治療の例を紹介します。
尿検査
まずは尿検査を優先に行います。尿検査では、尿試験紙法を呼ばれる試験紙に尿を浸して色調の変化を検証します。
これによって尿のph値である酸性又はアルカリ性のチェックすることが可能です。
また併せて行う顕微鏡検査では、炎症の反応や尿に血が混じる尿鮮血の状態や尿結晶の有無を調べます。
細菌培養検査
尿を採取して細菌培養を行い膀胱炎を引き起こしている細菌の種類や有効な抗菌薬の種類を特定します。
レントゲン検査
膀胱や尿道のレントゲン検査をすることにより、膀胱結石や腫瘍の有無を確認します。膀胱結石や膀胱腫瘍でも同様の症状が表れるために必要な検査となります。
エコー検査(超音波検査)
エコー検査は放射能を使用することなく、高い周波数の超音波を発生させる機器を、体の表面に当てるだけで体の内部を知ることができます。
レントゲンに移らない小さい腫瘍や結石を発見することがあります。
犬の膀胱炎の治療
感染治療
細菌感染の治療は、2~3週間程の期間に抗生物質の投与を行います。
この内科治療では、耐性菌を生まないために感染源となっている細菌を特定することが重要です。
治療の開始後に症状が改善したと判断して投与を中断すると再発や悪化を招くため、獣医師の指導に従いましょう。
食事療法
食事療法が行われるのは、主にストルバイト結石によるものです。尿のphを酸性に傾けて結石を溶かすことが目的となり、たんぱく質やリンを制限した療法食を食べることで治療を進めます。
外科治療・放射線治療・抗がん剤
シュウ酸カルシウム結石は、既に結石になると食事で溶かすことが出来ず外科手術により結石を摘出後に、再発を予防するために食事療法が行われます。
最も外科手術が必要なのは、膀胱腫瘍が見つかったケースです。部位によっては放射線治療や抗がん剤の治療を行います。
犬の膀胱腫瘍は、ほとんどが悪性のため早期発見と治療で命を助けることに繋がります。
再発に注意!膀胱炎の予防
犬の膀胱炎は適切な治療で治りますが、再発や慢性化しやすい病気です。
尿が長く膀胱にとどまると発病の可能性が高まるため、どうやって予防するかを生活の中で気をつけていきたいですね。ここでは、日頃から心がけたい予防法をご紹介します。
①飲水量を増やす
膀胱炎のリスクを下げるには、飲水量を増やすと尿量が増えて排泄が促されるため、細菌感染にかかりにくくなります。
人と同じで秋から冬にかけては飲水量が落ちるので、犬が飲水できる場所を追加して増やしてみましょう。
そして水分含有量の多いウエットフードを与えてあげるように工夫してみましょう。
➁トイレを我慢しない
膀胱に長くおしっこがとどまると尿路結石の原因を作ってしまいます。
散歩コースのみでの排尿ではなく、自宅でトイレが出来るようにトイレ環境を整えてあげましょう。
そしてトイレトレー自体が汚れているとトイレを我慢してしまうので清潔に保つようにしましょう。
③お尻まわりを清潔に
膀胱炎の細菌感染は、犬の排便や排尿の際にお尻が汚れたままにして発生した細菌が、尿道口から尿道を通って膀胱へ到達して炎症するしくみです。
これを防ぐには、お尻まわりを清潔にしておくことが大切になります。
④シニア犬は注意!定期的に尿健診をしよう
免疫力が低くなるシニア犬のトイレの回数などを把握しておきましょう。そうすると愛犬の変化に気づきやすくなります。様子をみていると悪化することもあり疑いがあれば動物病院で診てもらいましょう。
特にシニア犬の女の子は男の子より膀胱炎が多いことで知られています。女の子の場合は、男の子よりも尿道口から膀胱までの尿道が短いことで細菌感染にかかりやすくなります。
動物病院で簡易的な尿検診を行って結石が出来る前にチェックしてあげましょう。
まとめ
犬の膀胱炎は身近な病気で飼主さんが初期症状に気づきやすいポイントがいくつかあります。膀胱炎の疑いがあれば早めの検診と診療を開始しましょう。
そして再発しないように行えることは十分な水分の補給になります。水分補給に有効なウエットフードを活用してみるのがいいですね。
併せて尿検診を定期的に行い膀胱炎のリスクを下げる予防を行いましょう。
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