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犬のパテラ(膝蓋骨脱臼)の症状や治療法~予防するには?

犬のパテラについて
犬のパテラとは?
膝のお皿の膝蓋骨が、本来あるべき滑車溝の窪みから何らかの理由によって外側や内側へずれてしまうことです。
内側へずれることを『内方脱臼』、外側へずれることを『外方脱臼』といいます。
内方脱臼は小型犬で見られ、外方脱臼は中型犬や大型犬で多い傾向があります。
膝の関節の屈伸の役割をしている膝蓋骨がずれると、足を引きずって歩くようになることや座り方にも変化が表れます。
進行すると関節内の軟骨が擦れて痛みを伴う関節炎を起したり、骨の変形が起こるため早めに治療を開始することで進行を遅らせることが期待されます。
パテラの原因は?
現在の獣医学では明確な理由は分かってはいませんが、下記のような先天的と後天的な要因があるとされています。
先天的な要因2つ
➀遺伝
遺伝的になりやすい骨格構造の特定の遺伝子をもった犬種は、親から継承するため発症リスクがあります。
➁先天的な膝蓋骨の異常
膝の関節の筋肉が弱く、滑車溝の骨が浅い場合などの生まれつき膝骸骨に異常があるケース。
後天的な要因6つ
➀生活環境
成長期に滑りやすい床での生活で多くの負荷がかかって骨の形成に異常が表れます。
➁ジャンプや昇降の繰り返し
高い場所からジャンプをして膝に強い力がかかってしまったケースや、段差の上り降りを繰り返すことによって膝に負担がかかります。
③筋肉量の低下
膝蓋骨を支えている筋肉量の低下も原因になります。
子犬やシニア犬は膝の筋肉量が少なくしっかり骨を支えづらいことで脱臼しやすくなります。
④体内のホルモンなどの異常
成長ホルモンの分泌障害や食べているフードの成分での栄養障害が引き起こされることもあります。
⑤肥満による加重で膝に負担
肥満になって体重が重いことから、膝関節への負担が増えて発症する可能性があります。
⑥怪我・事故・転倒
高い位置からの落下や交通事故にあうなど、怪我や事故で膝を負傷した際に膝蓋骨がずれることで発症します。
他には急な転倒が起因となって悪化させてしまうことが多いです。
パテラを起しやすい犬種は?
最も多い症例は、小型犬では内方脱臼となり片足だけではなく両足に起きる場合もあります。小型犬全般にもあてはまります。
一方、外方脱臼は主に大型犬にみられる症状になります。
個体差はありますが引き起こしやすいとされている犬種は以下になります。
・トイプードル
・ポメラニアン
・チワワ
・ヨークシャーテリア
・パピヨン
・柴犬
・ゴールデンレトリバー
・グレートデーン
・セントバーナード
犬のパテラのグレード別の症状
膝蓋骨の脱臼の程度により、4つのグレードに分類されます。
脱臼は、物理的に外れた状態のため完治には手術が必要になります。グレード2以上から手術の適応となり早めの処置を行い進行を留めるようにします。
手術以外を選択した場合は、痛みを緩和する治療法を選択することになります。
■グレード1
普段は膝蓋骨が外れることなく収まっているものの、手で押すと脱臼してしまい手を離すと元に戻ります。
日常の生活では、飼主さんが気づきにくいわずかな違和感ほどになります。
激しい運動後に、足をあげて鳴き声をあげたり歩き方がスキップのようになることがあります。
この段階では、安静にして経過観察することが多いです。
■グレード2
膝を曲げるか手で押すと脱臼し、膝を伸ばすか手で押すと元に戻ります。
生活にあまり支障はないものの脱臼しやすく、脱臼した際は後ろ足が地面につかず浮いた状態になります。
■グレード3
膝蓋骨が常に脱臼した状態となり、手で押すと元に戻るがすぐ外れてしまいます。
日常的に後ろ足を曲げて腰をかがめて足を引きずって歩いたり、内股で歩行が乱れるなどの変化が顕著に表れます。
放置すると、骨の変形や前十字靭帯の断裂などを引き起こします。
■グレード4
膝蓋骨が常に脱臼して外れており、手で押しても正常な位置に戻らない状態です。
膝の関節を伸ばすことが出来ず、3本足での歩行やうずくまるようになります。
犬のパテラの治療方法
治療方法には、内科的治療と外科的治療があります。
症状が軽い場合は、運動の制限、投薬や生活環境の改善など内科的治療を行います。
しかし、根本的な症状を治すために手術を行う外科的治療が必要なケースもあります。
ここでは、主な3つの治療法をご紹介します。
保存療法
症状のグレードが低く手術のリスクが高い場合は、抗炎症薬や鎮痛剤、サプリメントを与えて経過をみる薬療法を行います。
症状を悪化させないための処置になり、犬の生活の質の向上を目指すものになります。
体重の管理と運動の制限
肥満の場合は、獣医師の指導で適切な体重へ減量していくことになります。併せて運動量の増減もコントロールして膝への負担を減らします。
足の筋力が足りないケースでは運動を増やして筋肉をつけます。また痛みが顕著な場合は安静にして過ごすようになります。
手術
グレードが進んで歩行が困難な場合は、外科手術を行います。手術では大腿骨の溝を深くすることや、肢骸骨を本来の位置へ戻す手術が行われ、脱臼の程度により複数の術法が用いられます。
症状や年齢などで行える手術が異なるため獣医師さんとよく相談してみましょう。
犬のパテラの予防法
パテラの主な原因の膝への負担を減らすことで、病気の進行を遅くしたり発症を予防することにつながります。
滑らない対策
床がフローリングの場合は、滑りやすく膝や腰に負担がかかって悪化する可能性があります。
滑り止めのマットやカーペットなどを敷くか、滑り止め加工をされたフローリングを利用して滑りにくい環境を整えましょう。
また足の裏の肉球の毛が伸びていると、止まる時に滑ってしまうことがあるため、定期的にカットしてケアをしてあげましょう。
体重の管理
体重の増加は、膝への負担が大きく適正体重へ戻す必要があります。
日頃から、愛犬の体重をチェックして体重の増減を知っておくと管理しやすいでしょう。
獣医師に相談して適正体重を確認してから、おやつを控えてダイエットフードを利用してみましょう。
高い所からジャンプしない・昇降りはNG
犬が高い所から着地した時は、膝へ体重の何倍かの負担がかかります。そして、段差のある場所での昇り降りの繰り返しも膝へ負担がかかるため、ソファーやベッドにペット用のドッグステップやスロープを設置してあげましょう。
ペット用のスロープは傾斜が急すぎると、安全に登れないのでおおよそ20度~30度くらいを目安にしましょう。
激しい動きに気をつけよう
適度な運動は大切ですが、激しくクルクル回る、急にカーブを曲がるダッシュをする、興奮して後ろ足だけで立つなどの後ろ足に負担がかかる運動を避けてあげましょう。
来客時に興奮しすぎる場合は、あらかじめゲージに入れて興奮しないように運動を制限してみましょう。
散歩で筋肉をつける
人と同様で筋力の低下が影響するため、散歩をして膝蓋骨を支えている太ももの大腿四頭筋を鍛えることが大切です。
この鍛える運動によって、筋肉量が増えて下半身が安定することが膝関節の負荷を軽減できます。
特にシニア犬は、筋力が低下して若い頃のように長時間の散歩では後足から衰えが目立つようになります。
そのため、散歩の時間を少し短くして散歩の回数を増やしてあげましょう。
まとめ
小型犬の成長期に多くみられるパテラは、膝蓋骨が本来の位置から外れてしまうことで発症します。
未然に防ぐには、日頃から愛犬を注意して観察しておくことや早期に治療を開始して悪化させないことが重要です。
いつもと違う歩き方が気になったら、かかりつけの動物病院に相談しましょう。
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