飼い犬になついてもらうためには、ごはんや散歩の提供をはじめとした日々のお世話に積極的に取り組むことがいちばんです。人間でも、小さな子どもが親以外の大人(保育士や先生、叔父叔母や祖父母など)に深い親しみを寄せるケースは多々ありますが、犬が飼い主さんになつくのもこれと共通したところがあるといえるでしょう。
もし日常的にお世話をしているにもかかわらず愛犬がなかなかなつかないという場合は、犬にとって苦手なことも同時にしてしまっていないか、一度チェックを。複数の家族でお世話に当たっている場合、お世話の内容や頻度、一緒に過ごす時間の量によってなつき具合に差が出ることも多いようです。
今回は、犬がなついてくれるお世話の仕方や、しつけのコツ、犬がいやなときに出している「NO」のサインの見分け方について解説します。犬が喜ぶ接し方をして愛犬にしっかりなついてもらいましょう。
目次
犬のお世話ってどんなことをするの?
愛犬のお世話には、毎日のごはんや散歩、グルーミングやブラッシング、寝床の掃除など様々なものが含まれます。特にごはんや散歩は犬にとって「嬉しい・楽しいこと」なので、いつもごはんをくれる人・散歩に連れて行ってくれる人にはなつきやすいです。
頻度が高いお世話
頻度が低いお世話
ブラッシングや室内遊び・運動、耳掃除などは犬の性格や体質、犬種によって必要な程度が異なるので、愛犬に合ったペースで行います。
しつけも大切なお世話の一つです。ハウストレーニングやトイレトレーニング、マテ・フセの指示で愛犬を落ち着かせることなどは、災害など万が一のことがおきたとき愛犬自身を守ることにつながります。
現在は、愛犬をほめて伸ばすしつけ方が主流となっていますが、愛犬が「やってはいけないこと」をしたときは、きちんと注意したほうがいい場合もあります。大声で叱り飛ばしたり体罰をしたりする必要はありませんが、犬は「ダメなことを教えてくれる人・トレーニングをしてくれる人」にもなつきやすいといわれています。飼い主さんの真剣で頼もしい姿や落ち着いた言動に、信頼や尊敬を感じているのかもしれません。
なついてくれるポイント
楽しくお世話をする
犬になついてもらうためには、まずしっかりとお世話をすることが必須です。時には飼い主さんがとても疲れていらっしゃることもあると思いますが、できるだけ面倒くさそうな姿などは見せない方がよいでしょう。犬は、驚くほど人間の様子に敏感で、飼い主さんの喜ぶ顔が大好きないきものです。いつも愛犬の前で飼い主さんがニコニコと楽しそうにして、毎日散歩に行き、愛犬が良いことをしたらたくさん褒めてあげ、毎日の食事や掃除をしていれば、次第に深い愛情と信頼を寄せてくれるでしょう。
しつけは一貫性を持って
なにが「よし」でなにが「ダメ」かには一貫性を持たせます。日によって内容を変えられると、犬は混乱したりストレスを感じたりし、きまぐれな飼い主さんに対して頼りなさや不信感を覚える可能性があるためです。
ご家族の場合は、全員で褒め方・叱り方や指示の出し方を統一すること、「やってはいけないこと」はなにか明確に決めることが大切です。
例えば、パパといる時はソファーに乗っても怒られないのに、ママといる時にソファーに乗ろうとすると「ダメ」と言われる。スリッパを噛んだ時、パパは怖い顔をして「コラ!」と言い、ママは「あらあらスリッパを噛んじゃダメでしょ~」と言う。など…このような状況が暮らしの中に頻発すると、犬はストレスを感じます。気難しい性格になったり、急にトイレを失敗したりするようになるかもしれません。場合によっては“人間たちが頼りないからボクがルールを作る!”となって、吠えたり噛むようになったり(犬から人間への指導を)することもあるのです。
家全体にわかりやすいルールがしっかりとできていて、飼い主さんたちが一貫した態度で決まった言葉(コマンド)を使ったしつけをしていれば、犬はその飼い主さんたちのようすに安心して、次第に信頼を寄せてくれるようになるはずです。
いつも穏やかにして落ち着いている
穏やかに落ち着いた態度で接してくれる人のそばにいると犬は安心します。
突発的な言動が多い子どもや、大声、女性特有の高い声、男性の威圧感のある雰囲気(制服姿など)、興奮気味の口調などは犬にとって興奮や警戒の材料になることが多く、ストレスを感じやすい要素です。吠えや散歩の際、これらがトラブルの原因となっているケースもあります。
とてもかわいい愛犬を前に、飼い主さんも興奮したり声が大きくなったりすることはあると思いますが、ときには我慢が必要です。
犬のペースに合わせる
犬はしぐさや表情の変化、行動によって感情を表現しています。この表現を無視して一方的に接するのはNG。まずは愛犬の話を聞いてみましょう。犬はとても賢いので、飼い主さんが歩み寄ってくれたということは愛犬にちゃんと伝わります。
犬が苦手とする人に出す「NO」のサイン
犬は苦手なもの、苦手な人に出会ったときに次のようなしぐさや表情でサインを出します。
恐怖心や警戒心からくる行動・しぐさ
耳のようす
※ワクワクしている時も耳が立ちますし、安心している時も耳が伏せられます。
耳の状態とボディランゲージや表情を合わせてチェックしましょう。
ボディランゲージ
しっぽを足の間に入れる、不安そうに目をそらす、安全な場所に隠れようとする、唸り声をあげる、噛もうとする、しきりにあくびをする、体をぶるぶるふるわせる、背中を丸めて小さくなる など
愛犬からNOのサインが出たら、構うのをやめてしばらくそっとしておきましょう。
もしや愛犬に嫌われてしまったのではないかと心配になるかもしれませんが、じっと目を見つめるのは警戒を強めさせてしまうのでNGです。
何度もしつこく嫌なことを繰り返さないかぎり、犬が簡単に飼い主さんを嫌いになることはありません。愛犬がNOのサインを出したきっかけを探し、不安を取り除くようにしてみてください。
犬が好意を持つのはどんな人?
犬は基本的に“飼い主さんが大好き”ないきものです。
飼い主さんが、ごはんや散歩、居住空間をはじめ身の回りのお世話をしてくれる人、自分が快適に過ごすためにさまざまなことをしてくれている人なのだとちゃんとわかっています。
もし他のご家族に比べるとなついてもらえていない…と感じていらっしゃるようなら、積極的にお世話をし、愛犬が好きな遊びや散歩にたくさん付き合ってあげるなど、愛犬のペースに合わせた交流の時間を十分にとってみてはいかがでしょうか。このとき穏やかで落ち着いた態度でいることがポイントです。なかなかなついてもらえなかったりそっぽを向かれたりすると寂しいものですが、くじけず、にこやかに愛情を注いであげてください。
まとめ
犬になついてもらうためには、積極的にお世話をすること、犬が安心できるような接し方を心掛けることが大切です。
お世話の中には、楽しい散歩やおいしいごはんだけでなく、シャンプーやハミガキなど犬の苦手なことも含まれていますが、愛犬に嫌われたくないからいやがるハミガキはしないとか、乞われるままにいくらでもおやつをあげるとかいうのは、犬の健康のためによくありませんので、やめておきましょう。飼い主さんが愛犬のために心を砕いてお世話をしているというのは案外愛犬にも伝わっているものです。なついてもらえればお世話やしつけもやりやすくなるので、前向きな気持ちで取り組んでみてください。