犬の中には「トリミング」と呼ばれる特別なお手入れが必要な犬種がいます。たとえば長年飼育頭数NO.1に輝くトイプードルや、モシャモシャとした独特の毛並みで人気のミニチュアシュナウザーなどは、定期的なトリミングがかかせない犬種になっています。
飼い主さんによっては、ご自宅で飼い主さん自身が愛犬のトリミングをしているというケースもありますが、専門的な知識や技術を要するものなので、ペットサロンに通ってプロの手に任せている方も多いです。
今回は、ペットサロンでトリミングしてもらう場合の基礎知識や必要性、費用など、詳しい情報を解説します。これから犬を飼おうと考えている方、トリミング必須の犬種の子犬が気になっているという方は、ぜひご一読ください。

犬のトリミングとは

トリミングとは、犬の被毛を見栄えよく刈り込むことです。毛並みを美しくすること、愛犬の健康を維持することが目的です。ただし犬の被毛の種類にはいくつかの傾向があり、トリミングが必要となるのは、一部の被毛タイプの犬種に限られています。

トリミングの効果

トリミングには2つの種類があります。バリカンやハサミで被毛を刈りこむ「カット」と、特別なナイフを使って古い毛を抜き、伸びすぎた部分を刈る「プラッキング」という方法です。一般的にトリミングというと「カット」を指す場合が多くなっています。
基本的に、犬の被毛はある程度の長さまで伸びたら伸び止まり、毛根が退行して抜け落ち、新しい毛に生えかわるという仕組みになっています。しかしプードルやシュナウザー、ヨークシャーテリアやマルチーズなど一部の長毛犬たちの被毛は、伸び止まることなく引きずるほどに長く伸び続けてしまいます。放っておくと絡まったりもつれたりして大小の毛玉がたくさんでき、最悪の場合、四肢が動かしづらくなったり皮膚の状態がとても悪くなって病気になってしまうこともあるほどです。そのため、この“伸び続ける被毛”を持つ犬たちは、ある程度の長さまで毛が伸びたらトリミングをして、見栄えの良さと健康的な状態を保つ必要があるのです。

トリミングのメリット

  • おしゃれ
  • トリミングのカットスタイルにはたくさんの種類があります。かわいらしい雰囲気、エレガントな雰囲気など飼い主さんの好みにあわせて仕上げてもらうことが可能ですので、愛犬のおしゃれな姿を楽しむことが出来ます。

  • お世話のしやすさ
  • 足先の毛を短めにカットすれば散歩帰りに足の汚れが拭きやすくなりますし、耳や顔周りを短くカットすれば食事の際に汚れにくくなります。長い被毛は汚れやすいので、短めにトリミングすることで日常的なお世話が格段に楽になります。

  • プロのお世話を受けられる
  • 愛犬の日常的なお世話の中でも、月1~2回の爪切りや肛門腺絞りなどは自分でやるのが不安という方も多いと思います。サロンのトリミングメニューでは「ブラッシング,シャンプー,カット,グルーミング(耳掃除や肛門腺絞り、爪切りなど)」を一つのセットとしている場合が多いので、まとめてプロの手に任せられます。

    トリミングが必要な犬ってどんな犬?

    基本的に、被毛が伸び続けるタイプの犬種は定期的にカットをする必要があります。
    プラッキングというトリミングは、シュナウザーやスコティッシュテリアなど、“ワイヤーヘアード”と呼ばれる剛毛を持つ犬種に対して行う、古い毛を抜き取る手法です。プラッキングはせずにただ伸びすぎた毛のカットだけをしても健康的には問題ありませんが、徐々に毛がやわらかくなったり退色したりする場合があります。ワイヤーヘアードの犬種らしい独特の雰囲気や硬い被毛を保ちたい場合は、プラッキングをした方が良いとされています。プラッキングには特殊な技術が必要なので、対応していないサロンもあります。

    代表的な犬種

  • カットが必要
  • プードル、ヨークシャーテリア、マルチーズ、シーズー、ビションフリーゼ、アメリカンコッカースパニエル、アフガン・ハウンド など

  • プラッキングが必要
  • シュナウザー、ジャックラッセルテリア、ダックスフンド(ワイヤーヘアード) などのワイヤーヘアードと呼ばれる剛毛を持つ犬種(とくに多くのテリア種たち)
    トリミング必須の犬種でなくても、飾り毛が豊富な犬の場合は汚れやすい毛先をカットしたり、夏だけはサマーカットをしたりと必要に応じてカットするケースもあります。トリミング必須の犬種でなければ、カットするかどうかは飼い主さんの判断にゆだねられます。

    トリミングの料金相場

    ペットサロンでトリミングをする場合、まずはブラッシングをして毛の絡まりやもつれ、汚れをきれいにします。その後シャンプー・ドライしてからカットに入ります。このときグルーミングがセットになっていたり、別途オプションで追加したりできるようになっていることも多いです。料金はサロンによりますが、一般的に犬種やサイズによって設定されていて、被毛が豊かな犬種・大型の犬種ほど価格が高くなります。

    小型犬の相場

    約6,000円~10,000円

  • トリミング必須の犬種
  • トイプードル、ミニチュアプードル、マルチーズ、シーズー、ヨークシャーテリア、ビションフリーゼ など

  • トリミング必須ではないが、飾り毛などのカットをすることがある犬種
  • チワワ(ロング)、ダックスフンド(ロング)、パピヨン、ポメラニアン など

  • プラッキングする犬種
  • ダックスフンド(ワイヤーヘアード)ミニチュアシュナウザー、スコティッシュテリア、ジャックラッセルテリア など

    中型犬の相場

    約7,000円~12,000円

  • トリミング必須の犬種
  • ミディアムプードル、アメリカンコッカースパニエル など

  • トリミング必須ではないが、飾り毛などのカットをすることがある犬種
  • ウェルシュコーギーペンブローク、シェットランドシープドッグ、日本スピッツ など

  • プラッキングする犬種
  • エアデールテリア、ケリーブルーテリアなど

    大型犬の相場

    約12,000円~35,000円

  • トリミング必須の犬種
  • スタンダードプードル、アフガン・ハウンド、コモンドール、ビアデッドコリー など

  • トリミング必須ではないが、飾り毛などのカットをすることがある犬種
  • ゴールデンレトリバー、バーニーズマウンテンドッグ、ラフコリー など

    値引きしてもらえる!?コツや条件

    トリマーを養成する専門学校や、トリミングサロンに在籍するトリマーの方が、カットモデルを募集していることがあります。生徒さんや、プロとして資格は持っていても実際の経験が浅い方がカットをするかわりに、相場より安価でトリミングを受けることができるようです。
    トリミングは毎月のことなので値引きしてもらえるのは魅力的ですが、人見知りが強い犬やトリミングを受けることに慣れていない犬などの場合は、愛犬にとってもストレスを感じる可能性があるため、値段は高くても熟練のトリマーに依頼した方が安心かと思います。カットモデルに応募したいという場合、サロンや専門学校によって細かいか条件が決められている場合もあるので、事前に確認をしてください。

    トリミングはいつごろから?

    子犬を飼ったらいつからトリミングをすることができるのでしょうか。実は、混合ワクチンの接種が完了しているかどうか、という点がポイントになります。トリミングに通う頻度は、愛犬の被毛の伸びるスピードやカットの短さなどにあわせて決めましょう。

    子犬のトリミング

    ワクチンプログラムが完了してから

    子犬は、生後約1か月で初めての混合ワクチンを接種します。ブリーダーやペットショップにいる間に済ませていることが多いです。そこから3~4週間ごとに混合ワクチンを接種し、2~3回目の接種で完了となります。このとき子犬は生後3~4か月ころになっていて、ワクチンの接種が完了したあとにまずは散歩の練習をスタートすることになります(それまでは基本的に外出NGです)。

    子犬の状態を見て

    最後のワクチンを接種して2週間ほど経過し、体調や精神状態が安定している様子であれば、必要に応じてトリミングサロンに連れて行くことが出来ます。

    サロンに行く練習をしておくと◎

    サロンは子犬にとってはじめての場所です。普段は落ち着いた子犬でも、緊張や不安でおとなしくトリミングをしてもらうのが難しい場合も当然あります。できれば、初めていったサロンでいきなり施術という流れではなく、可能な範囲で場所や雰囲気に子犬を慣らしておくとよいでしょう。
    前もって散歩のついでにお店の前まで行ってみる、グッズやフードの販売を併設しているサロンに行く場合はまずはお買い物がてら愛犬を連れて行ってみるなどの方法があります。

    理想的な頻度

    犬種によって被毛が伸びるスピードは異なり、またカットしたときの長さによってもサロンに通うペースは変わりますが、一般的に月1~2回ほどの頻度で通うのが理想とされています。トリミングと言えばプードルを思い浮かべる方も多いかと思いますが、プードルは他の犬種に比べると比較的被毛が伸びるペースがはやいので、こまめにカットする必要があります。

    トリミングの注意点

    トリミングに行く場合のマナー・エチケットとして、いくつかの注意点があります。

    マナー・エチケットについて

  • 子犬の初めてのトリミングはワクチンプログラムが終了して2週間が経過してから行く
  • ノミやダニなどの心配があるときは、駆除を済ませてから行く
  • 体調が悪い時や病気の時、感染症にかかっているときは行かない
  • →愛犬にとっても負担となるので、いずれも気をつけましょう。

  • 噛んでしまうなど愛犬の性格に癖がある場合は…
  • →サロンを予約する際に伝えて対応してくれるかどうか確認を。必要に応じて口輪やリードを利用する方がベターなら準備しましょう。

    サロン選びやカットについて

  • 愛犬のカットスタイルについて相談に乗ってくれるサロンを選ぶ
  • トリミングの現場が見える状態になっているサロンを選ぶ
  • →中には、動物行動学にもとづいて犬と接し、余計なストレスをかけないよう気を配ってくれるサロンもあります。愛犬の状態や性格に応じて柔軟に対応してくれるサロンだと安心です。

  • 希望のスタイルがある場合は画像を用意していく
  • →人間のヘアカットも同じですが、画像があった方が伝わりやすいです。
    子犬のうちは毛がやわらかく少ないので、成犬と同じようにカットしても全く違うスタイルになってしまいます。子犬のうちは「パピーカットで」と伝え、子犬らしいやさしくてかわいらしい雰囲気を楽しんでみましょう。

    まとめ

    トリミングは見た目の美しさだけでなく、皮膚を衛生的に保ち、愛犬の健康を維持するためにも行います。トリミング必須の犬種にとっては欠かせないものですが、トリミングが必須ではない犬種の場合も部分的に飾り毛をカットすることでお手入れしやすくなるケースがあります。気になっていることがあれば、まずはサロンにご相談されてみてはいかがでしょうか。
    トリミングサロンに通う場合は、犬種ごとの特徴や愛犬の性格、健康状態をよく見ながら適切な頻度で利用します。飼い主さんも愛犬も無理なく通うことができるよう、サロンとの相性やメニュー価格、立地など総合的な視点からサロン選びをしてみてください。

    By petia

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