犬と暮らす楽しみのひとつである、散歩。ペットショップやブリーダーからかわいい子犬を迎えたら、いつから散歩に行くことができるのでしょうか。
実は、子犬の月齢や状態によって、すぐには散歩に行くことができない場合も多いのです。子犬は、身体の中に免疫を持っていないため感染症にかかりやすく、数回の予防接種を終えてから散歩をスタートさせる必要があります。更にはじめての散歩となると、不安や警戒心からなかなか歩き出すことができない子犬も少なくありません。いっぽう、すこやかな成長のためには子犬の時期に様々な環境に慣れさせておくことが大切ともいわれています。
そこで今回は、散歩に行けない時期の子犬との上手な過ごし方をご紹介します。
安全で楽しい散歩の準備方法や注意点などを詳しく解説しますので、子犬との生活をスタートさせる際にはぜひ参考にしてください。

子犬の散歩はいつから?

子犬の散歩は、予防接種のワクチンプログラムが終了して、子犬が精神的に落ち着いた状態の時にはじめます。
数ある大手のペットショップで販売されている子犬たちは、ブリーダーやペットオークションで買い付けられ、生後60日くらいから店頭に並べられています。基本的にはすでに混合ワクチンを1回は接種した状態で販売されていますが、免疫力の低い子犬の場合、1回の摂取だけではしっかりと抗体が作られない可能性が高いです。

2~3回目のワクチン接種以降に

きちんと抗体を獲得させて感染症への免疫力を付けるためには、それぞれ3~4週間の期間をおいて混合ワクチンを合計3回ほど摂取するのが効果的といわれています。一般的には、散歩デビューはその後ということになります。
ペットショップに長くいた子犬の場合は、3回目のワクチンまで接種がすんでいる可能性もあるでしょう。混合ワクチンには薬品の数や種類に差があるため、どのような薬品を使ったワクチンを接種しているのか、子犬にワクチンアレルギー(アナフィラキシーショックや過敏症など)がないかどうかなど、購入の際に子犬の体調や状態を詳しく確認し、お迎え後に動物病院で相談してからお散歩をはじめるのがおすすめです。
ブリーダーから直接子犬を購入する場合でも同様ですので、ワクチンの接種状況や子犬の健康状態については購入の際によく確認しましょう。

子犬の散歩の練習方法

混合ワクチンの接種スケジュールは、生後8週目に1回目、その3~4週間後に2回目、更に3~4週間後に3回目という流れです。3回目のワクチンを接種して散歩に行けるようになるころ子犬は生後4か月ほどになっています。散歩に行けない期間、子犬とどのように過ごせばよいのでしょうか。

子犬の大切な「社会化」について

子犬の成長にとっては生後5~6か月までの経験がとても大切といわれています。
犬は成犬になってもトレーニングや新しいコマンドを覚えることができますが、子犬のころにしかできない「社会化」というしつけがあるためです。社会化とは、生後1か月~6か月の時期にいろいろな環境を経験して見知らぬ人や様々な生活音などに慣れておくことです。物おじせず明るくのびのびと成長するためにこの時期の経験が重要な役割を果たします。

散歩に行けない時期の対策について

地面を歩くことやほかの犬と触れ合わせることはワクチンプログラムが終了してから行いますが、子犬の体調が安定していれば、獣医師に相談の上で少しずつ社会化をすすめてもよいでしょう。室内で音響CDや動画を使って雑踏などの音を聞かせたり、ベランダや窓を開けて外の様子を見聞きさせたり、抱っこをして短時間だけ外に連れ出したりといった“散歩の練習”をするのがおすすめです。犬用の抱っこ紐や顔を出せるバッグなどを利用すると便利です。また実際の散歩に向けて、室内で実際に首輪やリードをつけて飼い主さんと歩く練習をしてみてください。

子犬の散歩の注意点

子犬にとってはじめての散歩はあらゆる刺激でいっぱいです。疲れやすく、体力・筋力も安定していないので、最初は短い時間からスタートします。外に出てすぐにぐんぐん歩ける子犬はそう多くありません。焦らず、子犬が疲れたそぶりを見せたら無理に進まないようにしましょう。

天候のいい日に行こう

まだ散歩に慣れないうちは、雨が降っている日や風が強い日、夏日や真冬といった極端な気温・天候の日は外出を控えた方が◎。飼い主さんにとっても負担になります。
はじめての散歩や慣れるまでの間は、天気のいい日を選んで穏やかな気候の時間帯に行ってみましょう。

安全なコースで行こう

ゆくゆくは車や自転車が通る道、人通りがある道を歩けるようにしたいところですが、最初は静かで危険の少ないコースからはじめてください。警戒心が強い子犬は、ほんの数センチの段差でもうまく上り下りできないこともあります。なるべく階段や段差が少ないコースを歩きましょう。子犬がチャレンジしようという意欲を見せた際はあたたかく見守ってあげてください。
誤飲や誤食には十分注意しましょう。また、気をつけてコースを選んでも、興奮状態の犬やスピードを出している自転車などに遭遇することがあるかもしれません。そうした場合は、子犬をなるべく刺激しないように飼い主さんが落ち着いてうまくかわしてください。抱き上げて素早く通りすぎる、進行方向の逆に方向転換すると比較的スムーズです。

夏場の散歩は要注意!

子犬はデリケートなので、夏場の散歩は注意が必要です。日中のアスファルトはかなり高温になっているので、場合によっては肉球にやけどをさせてしまう可能性もあります。
どうしても散歩デビューが真夏になってしまうという場合には、できるだけ涼しい時間帯を選び、日向のアスファルトは避けて短時間から歩くようにしてください。

嫌がるときは強制しないで

子犬の体調が安定していないときや嫌がっているときは、散歩を強制的に続けず帰宅して構いません。子犬は私たち人間が想像するよりはるかに多くの刺激を受け取っています。散歩に対してネガティブなイメージをいだいてしまうと、後々散歩嫌いになったり、問題行動をしたりすることに繋がるおそれもあるので、どうしても歩けない場合は無理に進まない方がよいです。
ただ、嫌がって歩かないというより、周囲をよく観察しているためになかなか先に進まないというケースもあります。子犬の性格が、視野が広く聡明な場合などに多いようです。ある程度その場に立ち止まって音や情報を見聞きし、納得すれば自ら先に進むというような子犬なら、子犬のペースにあわせて散歩するとよいでしょう。飼い主さんも一緒に立ち止まって「怖くないよ、大丈夫だよ」などと優しく控えめに声かけしながら歩きだすのを辛抱強く待ってあげてください。

子犬の散歩のときに必要なもの

これから散歩を始めるという子犬にとって必要なグッズをご紹介します。散歩デビューの前に揃えておけば、室内で愛犬と一緒に使う練習をしてみたり、愛犬の反応に応じて使い方を工夫したりできてスムーズです。

バッグ

マナー用品や水、トリーツやおもちゃなど必要なものを持ち歩くための散歩用バッグ。はじめての散歩の場合は時間や距離も短いので、あまりいろいろ持ち歩かず最低限のマナー用品があれば十分かと思います。愛犬の性格や行動によって中身を調整してください。トートバッグや手提げタイプのものは、軽くて持ちやすく、手に入りやすいです。ウエストバッグやボディバッグタイプのものは、両手が空くので、抱っこが多い子やアクティブな愛犬との散歩にピッタリです。

首輪

犬の被毛や皮膚の状態、顔の小ささなどによって最適な首輪の形状が異なります。ペットショップで確認し、身体に負担がかからず、首輪抜けしにくいものを選ぶようにしましょう。首輪は成長や劣化に応じて買いかえる必要があるので、まずはやわらかい素材の物から使いはじめるのがおすすめです。
個人情報の取り扱いについては飼い主さんのご判断となりますが、万が一の場合に備えて、首輪には電話番号や住所などを書いておくと迷子の際も安心です。迷い犬が一般の方に保護された場合、マイクロチップや鑑札だけしかないと飼い主さんに連絡が届くまでに時間がかかりますが、飼い主さんの連絡先がわかる首輪や迷子札がついているというケースでは、保護した方から速やかに連絡してもらえる可能性が高まります。

リード

散歩の際に首輪とセットで必要になるのがリードです。
子犬のうちは、ロングリードや伸縮リードは必須ではないので、飼い主さんが持ちやすくて愛犬の体格に合ったものを購入しましょう。ものによりますが、リードはそこまで高級なアイテムではありませんので、用途や成長に応じて愛犬の様子を見ながら買い足すという方が多いようです。

ハーネス

犬種や犬の性格によっては、首輪よりもハーネスを推奨されることがあります。子犬の場合は着脱の簡単な首輪から使い始める場合も多いですが、イタリアングレーハウンドなどの首が細い犬種にはハーネスの方が適していますし、首輪が苦手な犬でもハーネスならつけさせてくれるという場合もあるようです。
軽量で食いこみの少ないもの、やわらかくて通気性の良い素材で作られているものなどがおすすめです。愛犬の身体にあわせて微調整できるものもあるので、使い勝手の良いハーネスを探してみてください。装着が甘いと体がスポッと抜けてしまう恐れがあるため、緩すぎないようしっかり装着をして出かけましょう。

まとめ

子犬の時期にしっかりと刺激を吸収し、エネルギーを発散することで、警戒心からくる吠えや噛みつき、犬に対しての過度な興奮などがない、のびのびとした成犬に育てやすくなるとされています。これは子犬の「社会化」と呼ばれ、社会化に最適な時期は生後4~6か月ころにあたります。
社会化において、散歩はとても重要な役割を持っています。ワクチンの接種が完了し、子犬の体調が安定していたらさっそく散歩をはじめましょう。事前に室内から外気や外の音をきかせたり、室内でリードを付けた歩行の練習をしたりすることで実際の散歩もしやすくなります。
いよいよはじめての散歩に行くというときは、飼い主さんも自覚している以上に興奮したり緊張したりするものです。飼い主さんの感情は意外と子犬に伝わってしまうので、楽しみな気持ちは大切にしつつ、落ち着いてお出かけするようにしましょう。
はじめのうちは思ったように歩けないこともあるかもしれませんが、まずは子犬との散歩を楽しむことが大切です。子犬は興奮しやすく疲れやすいので、よく状態を見ながら歩いてあげてください。

By petia

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