犬は首輪とリードをつけて外に出せば楽しそうに歩いていくもの、と考えている方も多いかもしれません。しかし、実は飼い主さんの中には、愛犬が散歩に行きたがらない、散歩で歩かない、散歩中に突然立ち止まって動かなくなってしまう…といった悩みを抱えている方が少なくないのです。犬は、散歩ができなくなると運動不足になるだけでなく、気分転換や社会性の発達、エネルギーの発散がうまくできないため、噛みつきや吠えなどの問題行動につながる可能性もあるといわれています。
もしも愛犬が散歩で歩かない場合、改善するにはどうすればよいのでしょうか。
犬が散歩をしない理由としてよくあげられるいくつかのパターンと、楽しく散歩をするための方法をご紹介します。すぐに実践できる方法ばかりなので、すでに毎日の散歩でお悩みの方は、愛犬の様子を見ながらぜひお試しください。

犬が散歩しない理由

犬が散歩をしないことには、必ず何らかの理由があります。一般的には次のような原因がよくあるようです。皆様の愛犬はいかがでしょうか。

子犬のころの体験

散歩中に大きな音や通行人の突発的な行動に出会って驚いたり、他の犬に吠えかかられて怖い思いをしたり、ショックを受けたことはないでしょうか。子犬の時期、まだ慣れない散歩の途中でこういったネガティブな経験をしてしまうと「散歩に行くと嫌なことが起きる」と学習してしまい、散歩を嫌がるようになることがあります。

散歩コースに不満がある

犬は人間よりも嗅覚や聴覚が発達しています。そのため、苦手なにおいがする道や交通量が多くてうるさい道を嫌うことも多いです。犬はミカンなどの柑橘類や化学物質、シナモンなどのスパイシーなにおいを苦手としています。

暑さ・寒さ

基本的に犬は暑さに弱い生き物です。ただでさえ高温多湿の日本の夏は犬にはつらいものですが、人間よりも地面に近い位置で過ごしているため、夏場のアスファルトは犬にとって非常に負担です。もし愛犬が夏場に散歩に行かなくなるのであれば、暑さ対策を見直したり、散歩に行く時間を早朝などの涼しい時間にずらしたりと工夫してみてはいかがでしょうか。
犬によっては秋~冬の寒さや雨、雪などが苦手なこともあるので、愛犬が時々散歩を嫌がるということであれば、気候・天候が関係していないかチェックしてみてください。

太りすぎて動くのが嫌

場合によっては、太りすぎてしまって動くのがおっくうになっていることもあるようです。超小型犬であれば、わずかな体重の増加でも犬にはかなりの負担となります。散歩を嫌がる理由が「太りすぎ」の場合には、ダイエット・健康維持のためにも、愛犬の体調を見ながら無理のない範囲で運動をさせる必要があります。

考えられるけがや病気

いつも散歩が好きだったのに急に嫌がるようになったというケースや、上記の原因にはどれも当てはまりそうにない場合、けがや病気によって歩かなくなっている可能性も考えられます。念のため愛犬の体調をチェックしましょう。

  • 肉球のけが、爪の異常がないか
     → 指の間のけが、爪の伸びすぎや削れ過ぎが原因?
  • 足を引きずったり痛がったりしないか
    → 腰痛、足など関節の痛みやヘルニアが原因?
  • 息苦しそうな様子がないか
     → 心臓病や呼吸器疾患が原因?
  • 散歩を嫌がりはしないけれど何度も立ち止まる、普段以上に荒い呼吸や息切れをするという場合も体調不良の可能性があるので、気になる様子を見かけたら早めに動物病院を受診した方がよいでしょう。

    散歩が好きになる方法

    犬を飼ったら一緒に散歩に行くことが楽しみという方も多いもの。病気やけがで散歩に行けないというわけではないなら、愛犬の心身の健康のためにも、問題を解消して散歩を好きになってもらいたいところです。そのためにはどうすればよいのでしょうか。

    散歩ルートを見直す

    すでに成犬になっている犬や、控えめで怖がりな性格の場合は、愛犬にとって苦手なものがある道を避け、楽しく歩けるルートになるよう散歩コースを見直すことで改善する可能性があります。広い公園など、愛犬の好きな目的地を作るのもよいでしょう。お気に入りの場所に向かって好きなルートで散歩に行くことができれば、愛犬にとってのストレスがなくなり、散歩に対するイメージがよくなります。
    一方、室内では強気なのに散歩では歩かないというような状態の子犬の場合には、“苦手なものの回避”よりも“苦手の克服・慣れ”の方が適していることもあります。たとえば車や子どもが苦手な場合は、あえて車通りのある道や子どものいる公園に行き、危険ではないことを伝えて慣れさせるといった方法をとれば次第に苦手を克服することができるでしょう。ただし、愛犬に余計なストレスを与えないようよく様子を見ながら無理のないペースで根気強く進めることが大切です。
    散歩に行かないだけでなく、もし愛犬の行動に心配がある場合は、ドッグトレーナーなどの専門家に相談するのもおすすめです。

    ご褒美を与える

    飼い主さんが散歩を楽しむ気持ちを持つことも大切です。
    犬はとても敏感で、まわりの空気や飼い主さんの様子を意外と注意深く見ています。飼い主さんが「歩かなかったらどうしよう。愛犬の苦手なものに出会ったら嫌だな」と心配しながら歩くより、「お散歩は楽しいね!」とワクワクしながらリードを持って導いてあげると、そのポジティブな雰囲気が愛犬にも伝わり、飼い主さんを信頼して歩いてくれることも。うまく歩けた時は褒めてあげましょう。ご褒美を活用することも効果的です。愛犬が苦手なものを気にしないで済むよう、トリーツ(おやつ)で気を引くといった方法もあります。愛犬が無事に苦手なものをやり過ごすことができたらたくさん褒めてあげて、少しずつ成功体験を積んでいきましょう。

    リードを強く引っ張らない

    散歩中のリードは少したるんだ余裕のある状態がよいと言われています。
    愛犬が散歩中に興奮して先に進んでいってしまう場合は、つい、きつくリードを引いてしまうこともあるかもしれませんが、犬にとってこれはとても窮屈なことです。ずっと引っ張られている状態だと、嫌な思いが積み重なって、散歩に行きたがらなくなってしまうことも。
    車道に飛び出しそうな時や人や他の動物を追いかけそうな時など、危険が伴うどうしても必要なケース以外では、なるべくリードを強く引っ張らないようにして歩いてみてください。歩き始めは興奮していて突っ走ってしまう犬も、ある程度歩いて気持ちが落ち着いたら徐々にペースを落とすことが多いです。
    散歩中はずっとぐんぐん進んでしまう犬の場合は、もしかしたらそもそも散歩の時間や運動量が足りておらず、エネルギーが有り余っているのかもしれません。犬にとって必要な運動量はそれぞれ異なります。同じ犬種でも他の個体より体力がある子も存在します。愛犬にあった運動量になっているかどうか、一度見直しをしてみることをおすすめします。

    まとめ

    散歩で歩かないのは犬に問題があるわけではなく、愛犬にとって“散歩で歩けない何らかの原因”が存在しているからといわれています。広い視野で愛犬の様子をよく観察し、まずは原因を探ってみましょう。散歩は飼い主さんと犬をつなぐとても大切なコミュニケーションの一つです。愛犬の好き嫌い、得手不得手を発見するよい機会ととらえ、無理のないペースで根気強く向き合ってあげてください。
    一方で、体調にすぐれないところがあるという可能性も否めませんので、足の裏・肉球や爪の状態、室内で歩く時の様子、食餌や水分の摂取量には変化がないかなどよく観察してみましょう。もしも気になるところがあれば、早めに対応することが大切です。

    By petia

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